ぴあフィルムフェスティバル in 京都 2023
2023年10月14日(土)〜22日(日)
京都文化博物館3Fフィルムシアター
PFFとは?
ぴあフィルムフェスティバル(PFF)は、
"映画の新しい才能の発見と育成"をテーマにした映画祭
PFFは、"映画の新しい才能の発見と育成"をテーマに、当時、まだ観る機会の少なかったインディペンデント映画の面白さを広く伝えるため、1977年にスタートした映画祭です。
メインプログラムは、第1回より続く世界でも珍しい自主映画のコンペティション「PFFアワード」。入選者の中からは、後にプロの映画監督として活躍する人たちが180名を越え、若く新しい才能が集う場所として、広く認知されるようになりました。
コンペティション部門と同時に、国内外の多彩な映画を招待上映しています。 フランソワ・トリュフォー、ルイス・ブニュエル、侯孝賢、マキノ雅弘、ミヒャエル・ハネケ、テオ・アンゲロプロス、ロバート・アルトマン、ダグラス・サーク、クリント・イーストウッド、大島渚、若松孝二、羽仁進、サミュエル・フラー、ロバート・アルドリッチ、ナワポン・タムロンラタナリット、ピエル・パオロ・パゾリーニといった監督の特集企画を組むなど、"映画祭ならでは"の企画を続けています。
2023
PROGRAM
日 程 | 2023年10月14日(土)〜22日(日) *16日(月)は休館 [9日間] 2023年10月14日(土)〜22日(日) *16日(月)は休館 [9日間] *開場時間は上映時間の15分前です。 |
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会 場 | 京都文化博物館 アクセス |
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料 金 |
日時指定/整理番号付き自由席券 *障がい者・友の会・学生の方は、入場時に証明できるものをご提示ください。 |
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部門 | 一般 (シニア含む) |
障がい者 ・友の会 |
学生 |
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PFFアワード | 1,000円 | 500円 | 500円 |
招待作品部門 | 1,500円 | 1.000円 |
チケット購入方法 |
10月3日(火)朝10時より ※事前にインターネット購入か、セブンイレブン店内のマルチコピー機で購入後、発券したチケットをご持参の上でご来場ください。
[チケットぴあ購入方法] ※チケットぴあのホームページ、または、セブンイレブン店内のマルチコピー機で購入できます。
①インターネット購入 ②セブンイレブンのマルチコピー機で購入 [会場でのチケット販売について]
会場窓口でも、上映日当日にチケットを販売いたします。販売枚数には限りがありますのでご了承ください。 ※チケット購入方法に関するお問い合わせは、チケットぴあヘルプページ「ヘルプ検索」にてお問い合わせ内容に関連するキーワードをご入力いただき、該当のFAQをご確認ください。 |
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ダウンロード |
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コンペティション
PFFアワード 2023
上映作品ラインナップ
- 10月20日(金)18:00~19:47 + トーク
『完璧な若い女性』
監督:渡邉龍平
(22歳/東京都出身/武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科)
★エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
2023年/カラー/65分
製作・脚本・監督:渡邉龍平/助監督・スチール・撮影:サマサ・シシースター/撮影:鈴木陽太郎/照明:八森香央海/録音・整音・ミキシング:青山武生
出演:perfect young lady、大友晶太郎、竹内 春、新井吉亮、田中由美子
令和のシンカンカク歌謡映画、ここに誕生!
東京から静岡に里帰りする黒部と江莉夏は、二人の幼馴染み・汐音から届いたカセットテープ「perfect young lady」を再生する。出会いと別れのバカンスの記録。歌謡映像とコミカルな会話劇がクセになる!
『ホモ・アミークス』
監督:馬渕ありさ
(27歳/東京都出身/自営業)
2023年/カラー/42分 監督・脚本・編集:馬渕ありさ/撮影:哉司/録音:佐藤 開/音楽:Peno/キャスティング協力:小原正至 出演:芦原健介、辻 智輝、金子貴伸、須田晶紀子、山ノ内涼太郎
いきものと共に生きることを問いかけるブラックファンタジー
人間の姿をした実験用生物ホモ・アミークスは「やめろ」としか喋らない。アミークスの飼育員になった田代はある1体に愛着を持ってしまう...。ユニークな設定、巧みなキャラ造形で、観客を物語に誘い込む!
- 10月21日(土)11:30~13:40 + トーク
『リテイク』
監督:中野晃太
(35歳/神奈川県出身/NPO職員)
★グランプリ
2023年/カラー/110分 監督・脚本・撮影・編集:中野晃太/撮影:柳田修平/録音:飯塚 了、土佐香理/照明:金内直文 出演:麗、武藤優汰、タカノ アレイナ、大原奈子、千葉龍青
読めない展開!劇中映画に翻弄される110分
景はほのかに想いを寄せる遊に自主映画のカメラマンを頼まれる。仲間を集めて撮影が進んでいく中、突然、遊が辞めたいと言いだし...。巧みな劇中映画の使い方!カットの掛け声がかかるたび映画は驚きに溢れていく。
『ちょっと吐くね』
監督:大野世愛
(22歳/北海道出身/会社員)
2023年/カラー/20分 監督・脚本・編集:大野世愛/撮影:吉田 嶺、前川季哉/録音:色川翔太/照明・制作:根岸一平 出演:小澤うい、緋水 綾、高橋輝仁
病と自己を見つめるふたりの、トイレを舞台にした異色の会話劇
拒食症で嘔吐を繰り返す柚咲は、大学のトイレで嘔吐する静葉の存在に気がつく。ふたりはトイレの壁をへだて関係を築いていたが、静葉がある約束を破ってしまい...。文学作品を読んだ後のような余韻を残すラストは必見。
- 10月15日(日)17:45~19:15 + トーク
『鳥籠』
監督:立花 遼
(21歳/大阪府出身/京都芸術大学 芸術学部)
★審査員特別賞
ゲスト 立花 遼監督
2023年/カラー/66分 監督・脚本・企画・編集:立花 遼/撮影・カラーグレーディング:天野伊雄/助監督:山崎真理子/録音・MA・編集:池島 快/衣装:倉田彩音 出演:山﨑龍吾、寺田智彦、上原恭平、奥村海斗、榎風ことは
あっけない10代の出会いと別れ。哀愁と痛みに溢れた青春映画
暇さえあれば公園に集まりつるんでいた高校生4人組。ある夜呼び出され、悪い先輩の誘いに付き合ったことで、4人の関係性に変化が生じていく。様々な場所を鳥籠に見立て高校生たちの閉塞感を表現した意欲作。
『サッドカラー』
監督:髙橋栄一
(33歳/岐阜県出身/フリーランス)
ゲスト髙橋栄一監督
2023年/カラー/24分 脚本・監督・撮影・衣装・編集・整音:髙橋栄一/プロデューサー・助監督:望月亮佑/照明:三塚俊輔/録音:濵田耕司/録音:岡上亮輔 出演:小沢まゆ、野田英治、保土田寛、髙間ゆめみ
悲しくないって悪いこと?感情を測れる世界のディストピア映画
ある日ミヤは夫に勧められた病院で「悲しみを失くしている」と診断されてしまう。どうにかして悲しみを思い出そうとするミヤだったが...。突き放すような無機質で美しい画面と、皮肉でウィットの効いたセリフに目が離せない!
- 10月22日(日)11:30~12:49 + トーク
『USE BY YOUTH』
監督:高木万瑠
(20歳/東京都出身/武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科)
2023年/カラー/51分 監督・編集:高木万瑠/脚本:秋葉原タイチ/音楽:toulavi/撮影・カラー:宮川 玄/録音・整音:芹沢日向 出演:二宮啓輔、瀬戸璃子、桝屋大河、加藤月乃、白田那千
抜群のリズム、強烈なシナリオ、初期衝動が爆発する!
ジャンケンと拳が全てを決める町に転校してきた最強の男、真田。江美利という少女との出会いを機にその拳を封印するのだったが、再び戦いに巻き込まれていく...。主人公に台詞は一切なし!大胆すぎる設定の娯楽作。
『ただいまはいまだ』
監督:劉 舸
(28歳/中国出身/会社員)
2023年/カラー/28分 監督・脚本・編集:劉 舸/撮影:青石太郎/助監督・美術・カラーグレーディング:王 子易/助監督・記録:鄧 雅文/制作:蘇 暢 出演:郭 嘉雷、アライ ジン、范 西滢、塚田愛実
ある一軒家での、ささいな一日を描いた4人の交流物語
中国人留学生の友人・李と共に、彼の音信不通の友人・高を探しに出かけた太郎。無事に高を発見すると、太郎は彼らを妹と住む実家に招待する。一軒家という限定空間から、確かに日常を生きる4人が浮かび上がる演出が光る。
- 10月21日(土)14:45~16:32 + トーク
『移動する記憶装置展』
監督:たかはしそうた
(31歳/神奈川県出身/東京藝術大学 大学院映像研究科映画専攻)
★観客賞
2023年/カラー/71分 監督・脚本:たかはしそうた/プロデューサー:徐 梅/撮影・照明:費 嘉潤/録音・サウンドデザイン:浪瀬駿太/編集:趙 冬梅 出演:佐々木 想、影山祐子、庄司麻子、廣田朋菜、土屋スミレ
かつて栄えた町の記憶を巡る、町民とアーティストたちの物語
ギャラリーを運営する麻子は映像作家の谷繁に展示を依頼し、部屋を貸し出す。元々麻子とルームシェアするスミレは不信感を募らせるが、谷繁の展示の手伝いをする羽目に。シリアスなテーマとオフビートな会話劇の心地よい融合!
『また来週』
監督:ハインズ麻里子
(21歳/東京都出身/早稲田大学 文化構想学部科)
2023年/カラー/36分 監督・脚本・編集:ハインズ麻里子/音楽:永岡史帆/撮影:榊原 滉/撮影:安井 彬/撮影:伊藤慎之介 出演:森川千滉、三谷菜々美、泉水美和子、新開ひかり、渡邉透羽
フィクションが溢れた現代でフィクションと共に生きる
朝ドラを偏愛しすぎるあまり、まるで自分の経験のようにヒロインに同化してしまう明咲子。ヒロインと同じように女優を志すが、次第に理想の世界と乖離していく。劇中劇の朝ドラを現実と呼応するシームレスな世界として描いた構成力に注目。
- 10月21日(土)17:30~19:05 + トーク
『ふれる』
監督:髙田恭輔
(21歳/茨城県出身/日本大学 芸術学部)
★準グランプリ
2023年/カラー/56分 監督・脚本・編集:髙田恭輔/撮影・グレーディング:市川雄一/録音・音響効果:土手柚希/美術:黒田晴斗/助監督:宮川彰太郎 出演:鈴木 唯、仁科かりん、河野安郎、水谷悟子、松岡眞吾
「ふれる」ことで喪失に向き合っていく少女の成長物語
数年前に母を亡くした小学生の美咲。学校などで問題を起こし周囲を困らせていたが、陶芸工房で遊ぶうちに喜びを感じるようになっていく。子供と、子供に関わる人々の魅力を引き出す繊細な演出力に注目。
『Flip-Up Tonic』
監督:和久井 亮
(22歳/東京都出身/東京大学 教養学部)
2023年/白黒/26分
脚本・監督・編集:和久井 亮/撮影:高橋怜央/録音・整音:増喜公美/音楽:柴田優華/スチル撮影:石坂洋子
出演:丸田亮祐、Axol、高田享太、三宗 凪、杉田南実
人間とアンドロイドをめぐるハイテンポな会話劇サスペンス
人型アンドロイド「リーチャー」を巡る被験者募集に応募した大学生の多良野。実験中、多良野はリーチャーに逃げられ落ち込むが、実験にはある秘密が隠されていた。事務的な会話から謎が広がっていくスリリングな展開に注目。
『ParkingArea』
監督:増山 透
(29歳/茨城県出身/武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科 助教)
2023年/カラー/9分 監督・脚本・制作・編集 : 増山 透 出演:岡野紗咲
非現実的なはずなのにどこか親しみを感じる幻想世界
パーキングエリアに訪れた女性、そこは世界がたったひとりだけのように現実感がない。無機質で幻想的な建築物の中で、彼女が行き着く先は...。一瞬たりとも目の離せない、圧倒的な映像美。
- 10月22日(日)14:00~15:35 + トーク
『逃避』
監督:山口真凜
(22歳/栃木県出身/フリーランス)
2023年/カラー/57分 監督・脚本・編集:山口真凜/プロデューサー:田中佐知彦/撮影:佐久間アキラ/照明:照井康平/サウンドデザイン:鈴木紀貴 出演:サトウヒロキ、村上由規乃、諏訪珠理
登場人物、男と女。逃げても逃げても日常はやってくる
帰宅した恋人の和真の様子がおかしいことに気づいた彩乃。彼は、車を乗り捨て洗濯を始め、何が起きたかは全く話さない。翌朝家に尋ねてきたのは...。緊迫の状況で掃除や布団を干す日常的なリアリティが、現実の焦燥感を増幅させる。
『うらぼんえ』
監督:寺西 涼
(27歳/神奈川県出身/フリーター)
★審査員特別賞
2023年/カラー/28分 監督・脚本・編集・音楽:寺西 涼/録音:馬原洋幸、三村一馬/撮影応援:団塚唯我/制作:稲生 遼 出演:田口ゆたか、阿部能丸、吉村健太郎、加島知枝、下東久美子
夢と、うつつと、現実と。世界がうらがえる28分!
息子の啓太を海の事故で亡くした真司。講師をする絵画教室の生徒から、故人を架空の相手と死後結婚させる供養の言い伝えを聞き、実行にうつすと不思議な変化が...。独特なおどろおどろしい演出と、巧みな構成力が素晴らしい。
『こころざしと東京の街』
監督:鈴木凜太郎
(21歳/東京都出身/東京工芸大学 芸術学部)
2023年/カラー/10分 監督・脚本:鈴木凜太郎/撮影・照明:内堀駿介/録音:森田ことわ、根本大雅/助監督:大竹洸也 出演:小林栞大、土屋 翼、村上顕輔、鈴木凜太郎
「道」と人生の選択にまつわるミニマルな映像作品
進路に悩む、高校生の佐藤と金本。進路選択の提出が明日に迫る中、友人二人にカラオケを誘われ佐藤はそれに乗ってしまう。坂道やT字路の道の形状を「進路」や「人生」に重ね合わせる、短いながら誠実さに溢れた一篇。
- 10月19日(木)18:00~19:29 + トーク
『リバーシブル/リバーシブル』
監督:石田忍道
(34歳/愛知県出身/映像作家・障害福祉従事者)
★審査員特別賞
ゲスト 石田忍道監督
2023年/カラー/77分 監督・脚本:石田忍道/撮影:平良良樹/助監督:斎藤千晃/録音:伊藤昭宏/車両:井上歩夢 出演:田丸大輔、杉崎みなみ、小松遼太、奏羽 茜、藤原絵里
「メンタルヘルス」をヒューマンドラマに落とし込んだ意欲作
持病を持つ田中は息子の開と暮らしている。田中は風俗店の送迎の仕事で出会ったミサキに妖精が見えると告げられ、土手に探しにいくようになるのだが...。「見える」ことによる不確かな現実と、確かに存在する生の両面を描き出す。
『肉にまつわる日常の話』
監督:石川真衣
(22歳/愛知県出身/名古屋学芸大学 メディア造形学部)
ゲスト 石川真衣監督
2023年/カラー/4分 監督・脚本・編集:石川真衣
食遍歴から人生の細部を想像する4分間の映像体験
ある映画を見たことをきっかけに肉を避けた生活を送っている女性のエッセイムービー。実写映像やコマ撮り、手書きアニメなど様々な手法で食遍歴を語る!ひとりの人間の人生とおかしさが込み上げてくる作品。
『Sewing Love』
監督:許 願
(27歳/中国出身/多摩美術大学 グラフィックデザイン学科)
2023年/カラー/8分 監督・脚本・編集・作画・色付け:許 願/音楽・音響・効果音:佐藤七海
愛は縫い合わせることができる?男女の愛を描いた寓話物語
男の胸には穴が空いている。あるときひとりの女性に出会い、穴を埋めるように愛を育んでいく。しかし彼女を失う恐怖から、自身の胸に彼女を縫い付けようとする...。様々な質感や素材に変形していく感情の表現は圧巻!
- 10月22日(日)16:45~18:15 + トーク
『じゃ、また。』
監督:石川泰地
(27歳/東京都出身/フリーター)
★映画ファン賞(ぴあニスト賞)
2023年/カラー/52分 脚本・監督・編集:石川泰地/撮影・グレーディング:新藤早代/録音・MA:寒川聖美/録音:佐藤友亮/音楽:関口 諭 出演:石川泰地、国本太周
この部屋はどこに繋がって、どこに向かっているのか?
大学を除籍となり引きこもっているナリヤスの家に、かつての映画仲間シュウタが突然やって来る。彼はなぜ家にやってきたのか?異空間につながる部屋、巻き戻される時間、男の心情と呼応した世界の変化に翻弄される52分間。
『ハーフタイム』
監督:張 曜元
(33歳/中国出身/東京藝術大学 大学院映像研究科 博士課程)
ゲスト 張 曜元 監督
2023年/カラー/30分 監督・脚本:張 曜元/プロデューサー:徐 梅、筒井龍平/撮影・グレーディング:由 進/サウンドデザイン:鈴木昭彦 出演:阿部 力、姜 楠、張 晟、村松和輝、秋美敏春
技能実習生の静かな怒りが、画面外のわたしたちに向けられる
中国からの技能実習生・慶陽は、給与未払いの訴えが組合に取り合われず疲弊していた。さらにルームメイトの悪事に加担してしまい、組合に弱みを握られてしまう。映画を観る「わたしたち」に余韻を残し続ける衝撃のラスト。
『不在の出来事』
監督:川口淳也
(29歳/三重県出身/フリーランス)
2023年/カラー/13分 監督・構成・撮影・録音・編集:川口淳也/制作応援:大川晃平 出演:川口淳也、丹羽 歩(声)
ワンルームという限定空間を宇宙的に解釈した短編映像
登場する男に名前はない。そしてほとんど映ることもない。カメラは男がいなくなったマンションを写し続ける。「不在の空間」は「観察者」がいるかぎり運動し、息づいている。空間の認識が一変する、感性爆発の11分間。
京都府立医科大学在学中に制作し、一躍その名を轟かせた『暗くなるまで待てない!』をはじめ、貴重な自主映画時代の8ミリ&16ミリの全9作品を3プログラムに分けて上映します。貴重な70年代の京都の街並みを背景にした作品も含まれています。
かつて大森監督の助監督をつとめた緒方明監督が、東京開催に続きすべての回で、アフタートーク。貴重なエピソードを披露します。さらに、15日(日)のプログラムには、大森監督自主映画時代の主演俳優である、南浮泰造さんに来場いただき、緒方監督との対談が実現しました。
*8ミリ作品は全てデジタル上映自主映画時代①8mm3作品
- 10月14日(土)11:30~12:27 + トーク50分 ★ゲスト:緒方明監督
『革命狂時代』
1969年/カラー/13分 監督:大森一樹
六甲高校2年時の記念すべきデビュー作!
文化祭用映画として製作を始めるも文化祭粉砕シーンで終わる、1969年という混沌とした年を大きく反映した一篇。
『ヒロシマから遠く離れて』
1972年/白黒/2分 監督:大森一樹
秀逸なタイトルの大森監督唯一の実験映画!
医大入学後、映画製作熱が増し、実験映画にも挑戦。インクに滲む紙束をめくる手をリズミカルに描写した作品。
『明日に向って走れない!』
1972年/カラー/42分 監督:大森一樹
素晴らしいショットの連続は見逃せない!
恋人から別れの手紙を受け取った主人公の行動を、様々な映画のオマージュを織り交ぜ描いた疾走感に満ちた作品。
自主映画時代②8mm4作品
- 10月14日(土)14:00~15:36 + トーク50分 ★ゲスト:緒方明監督
『空飛ぶ円盤を見た男1』
1972年/パートカラー/13分/8mm 監督:大森一樹
「特撮なしのSF」を目指し、1日で撮られた習作。芦屋の大森の実家で休日にロケ。サイレントではあるが「物語を伝えようとする」点に映像作家としての成長が見られる。大森組の常連俳優・南浮泰造初主演作!
『空飛ぶ円盤を見た男2 銀幕死闘編』
1976年/モノクロ&カラー/19分/8mm 監督:大森一樹
『暗くなるまで待てない!』後、大森組のジャン=ピエール・レオこと南浮泰造を再び主演に迎えつくられた休日映画。技術も映画愛も前作から格段に進歩の跡が見られる。大森一樹を語る上で重要な作品の一つ。
『空飛ぶ円盤を見た男3 エネルギーマン』
1981年/カラー/18分/8mm 監督:大森一樹
群像劇の快作『ヒポクラテスたち』後、ささやかに撮った定番空想科学シリーズ。ささやかながらお手製の特撮シーンもある。元ネタは敬愛する手塚治虫の「鉄腕アトム」。愛すべき小品佳作。
『死ぬにはまにあわない!』
1974年/カラー/47分 監督:大森一樹
京都を舞台にしたハードボイルド映画に挑戦!
日活ニューアクションに触発され、初めて脚本を執筆し臨んだ、銃撃戦やカーチェイスシーン満載の意欲作。
自主映画時代③16mm2作品
- 10月15日(日)11:00~12:35 + トーク45分 ★ゲスト:緒方明監督、南浮泰造(出演)
『暗くなるまで待てない!』
1975年/カラー&白黒/70分/16mmフィルム上映 監督:大森一樹
初の16ミリによる「ない!」シリーズ最終作!
神戸を舞台に映画製作に打ち込む大学生たちの情熱的な姿を描き、当時の映画を志す若者たちに大きな影響を与えた傑作。
『夏子と長いお別れ』
1978年/カラー/25分/16mmフィルム上映 監督:大森一樹
映画愛に満ちた自伝的な青春映画
神戸を舞台に、『暗くなるまで待てない!』のヒロイン・稲田夏子が再び登場!名画座「文芸坐」が製作に乗り出す!
大森一樹
1952年、大阪府生まれ。高校時代より8ミリ映画を撮り始め、大在学中に初めて16ミリで撮影した『暗くなるまで待てない!』が関西で注目を浴びる。76年ぴあ主催の「ぴあシネマブティック」で「ない!」シリーズ3部作が大好評を得て、自主映画ムーブメントの先駆けとなる。77年にシナリオ『オレンジロード急行』で城戸賞を受賞。翌年、同作で商業監督デビューを果たした。その後『ヒポクラテスたち』(80年)『風の歌を聴け』(81年)『すかんぴんウォーク』(84年)『恋する女たち』(86年)『ゴジラ』シリーズ等多彩な作品を多数発表。惜しくも、2022年12月に逝去。
斎藤久志監督のプログラムでは、自主映画時代から斎藤監督作品に出演し、現在は京都芸術大学で教鞭をとる鈴木卓爾監督が来場。秘蔵映像&数々のエピソードで、斎藤久志監督の映画術をお話いただきます。
- 10月14日(土)17:00~18:36 + トーク40分 ★ゲスト:鈴木卓爾監督
自主映画時代から、斎藤監督作品に出演していた鈴木卓爾監督。
鈴木卓爾監督をお招きし、秘蔵作品を上映。数々のエピソードを披露しながら、斎藤久志監督の映画術を伝えていく。
※上映作品はお楽しみに!
ゲスト:鈴木卓爾監督
斎藤久志
1959年、東京都生まれ。85年、自主製作映画『うしろあたま』がPFFに入選し、87年には第2回PFFスカラシップ作品『はいかぶり姫物語』を発表。その後、廣木隆一監督の『夢魔』(94年)の脚本や、塚本晋也監督の『東京フィスト』(95年)の原案などをつとめたのち、『フレンチドレッシング』(97年)で劇場用映画デビュー。その後『サンデイドライブ』(98年)『いたいふたり』(02年)等を発表。最新作『草の響き』が映画芸術ベストワンを受賞し、今後の活躍を期待されるも、2022年12月に逝去。
PFFスタート時から審査員として参加した日比野幸子さんは、海外へとその視点を拡げ、80年代にはまだ誰も注目していなかったアジアや東欧の新鋭を紹介し続けました。今回は、ホウ・シャオシェン監督、イ・チャンホ監督の2作品を紹介します。
- 10月17日(火)15:00~16:41
【アジア映画の新鋭紹介 台湾・侯孝賢監督】
『風櫃の少年』
1985年/台湾/カラー/101分
監督:侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)
出演:ニュウ・チャンザイ、チャン・シイ、チャオ・パンジュ、チェン・ボージョン、
リン・シウリン
台湾ニュー・シネマを世界に知らしめた傑作
この後、エドワード・ヤンと並び世界的巨匠となった候孝賢が、初めて自伝的な題材を扱った青春映画の傑作。潮の香りに満ちた港町・風櫃で過ごす怠惰な日の放つ魅力がナント三大陸映画祭でグランプリを獲得。1985年の第8回PFFで上映。
侯 孝賢
(ホウ・シャオシェン)
- 10月19日(木)15:00~16:45
【アジア映画の新鋭紹介 韓国・李長鎬監督】
『旅人は休まない』
1987年/韓国/カラー/105分/35mmフィルム上映
監督:李 長鎬(イ・チャンホ)
出演:キム・ミョンゴン、イ・ボイ、コ・ソルボン
80年代韓国映画界を代表する李監督の代表作
『寡婦の舞』に続き日比野が招いた李長鎬監督作品。1987年、第10回PFFで上映。3年前に亡くなった妻の遺骨を埋葬しようと妻の故郷へ向かう男の、祖国分断のために帰郷できない悲哀を描く。鮮烈な色彩も注目された秀作。
李 長鎬
(イ・チャンホ)
日比野幸子
1946年、岐阜県生まれ。8ミリ映画専門誌「小型映画」の編集部に在籍し、多くの若い自主映画監督を誌面で紹介。また、古井由吉の芥川賞作品を映画化した『杳子』(77年)や、長崎俊一監督の商業デビュー作『九月の冗談クラブバンド』(82年)のプロデュースを担当。70年代から長くPFFアワードの審査員を務めたほか、当時、日本では劇場公開が難しかったアジアやヨーロッパの意欲的な作品を紹介する「海外招待作品」のディレクターを務めた。2022年12月に逝去。
東京でも好評を博した、山中監督のプログラムを京都でも実施!『あみこ』+『おやすみ、また向こう岸で』の山中監督トーク回に加え、山中監督が衝撃を受けた2作品を上映します。
- 10月17日(火)18:00~19:30
『ホーリー・マウンテン』
*デジタルリマスター版ワールドプレミア上映
1973年/アメリカ、メキシコ/カラー/114分
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ホラシオ・サリナス、ラモナ・サンダース、アリエル・ドンバール、ホアン・フェラーラ
外部の圧力によって進路に悩まされていた16歳の私には、劇薬でした。「映画が好きならこれを見た方がいい」とVHSを貸してくれた美術の先生、ありがとう。もしくは、余計なことしやがって。かもしれません 笑(山中瑶子)
アレハンドロ・ホドロフスキー
- 10月18日(水)15:00~17:04
『ポゼッション』
1980年/フランス、西ドイツ/カラー/124分 監督:アンジェイ・ズラウスキー 出演:イザベル・アジャーニ、サム・ニール、ハインツ・ベネント、マルギット・カルステンセン、ヨハンナ・ホーファー
観る人の数だけ解釈が生まれるような映画ですが、私はこれを究極の女性映画と受け取りました。ガンガン不貞を働き、のたうちまわろう。人生は一度きりだからこそ、後悔も失敗もまるごと抱えて絶叫していこう!それで大丈夫。(山中瑶子)
アンジェイ・ズラウスキー
- 10月17日(火)18:00~19:30 + トーク30分 ★ゲスト:山中瑶子監督
『あみこ』
2017年/カラー/66分
監督:山中瑶子
出演:春原愛良、大下ヒロト、峯尾麻衣子、長谷川愛悠、廣渡美鮎
PFFアワード2017観客賞受賞の山中瑶子監督の初監督作。16歳の女子高生あみこが、ニヒリストでありながら、サッカー部の人気者アオミくんに恋をして暴走していく。本作で、山中監督はベルリン映画祭に史上最年少で正式招待。
『おやすみ、また向こう岸で』
2019年/カラー/24分
監督:山中瑶子
出演:三浦透子、古川琴音、中尾暢樹
テレビの放映用に作りましたが、やることは映画のときと何も変わっていません。ぜひスクリーンで上映できたらと思っていたので、念願です。フランソワ・オゾンのバカンス映画に触発され、このような形になりました。(山中瑶子)
山中瑶子
早逝したバーバラ・ローデン監督の衝撃作と、初長編でベルリンに招待された鶴岡慧子監督のPFFグランプリ作品を2本立て上映。
- 10月15日(日)13:45~16:38 + トーク30分 ★ゲスト:鶴岡慧子監督
『くじらのまち』
2012年/カラー/70分
監督:鶴岡慧子
監督・脚本・編集:鶴岡慧子/撮影・照明・編集協力:佐々木健太/照明助手・助監督:入澤朱陽/制作:永井 浩
出演:飛田桃子、片野 翠、山口佐紀子、佐藤憲太郎、中嶋 健
仲良し高校生男女3人組のすれ違う心の揺れを瑞々しく描く
高校最後の夏休みに仲良し3人組で失踪した兄を捜す旅に出たまち。永遠に続くかに見えた穏やかな学生生活の揺れる思春期の心象風景を瑞々しく描く青春群像劇。PFFアワード2012グランプリ受賞後、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待された。
『WANDA』
*鶴岡慧子セレクト
1970年/アメリカ/カラー/103分
監督:バーバラ・ローデン
出演:バーバラ・ローデン、マイケル・ヒギンズ、ドロシー・シュペネス、ピーター・シュペネス、ジェローム・ティアー
片隅でかすかに瞬く一番星のような一作
バーバラ・ローデン監督・脚本・主演のロードムーヴィー。世の中から塵のごとく扱われるワンダという人物を、〈監督の目〉と〈役者の身体〉の両極から、自らの内に集約して創り上げた彼女の先駆性と創造性は奇跡。(鶴岡慧子)
バーバラ・ローデン
山川直人監督&石井聰亙監督による、70~80年代を代表する伝説の自主映画を2本立て上映。8ミリ作品を修正したデジタル版での上映です。
- 10月20日(金)15:00~16:43
『ビハインド』
※8mm作品をデジタル化して上映
1978年/パートモノクロ/60分
監督:山川直人
出演:伊藤清彦、室井 滋、石井葉子
大学生の同棲生活を思わせるアパートの一室から始まるが、ドラマは瞬く間に解体される。男女の物語の後景をまさぐるように、時間軸を自由に往還しながら連鎖する映像の断片…。何気なく通り過ぎてしまいそうな、後ろにあるもの、“Behind”が重層的に組み立てられていく。
山川直人
『1/880000の孤独』
※8mm作品をデジタル化して上映
1977年/カラー/43分
監督:石井聰亙(岳龍)
監督・脚本:石井聰亙/製作:椚山幹夫/映像:井上敏夫、伊藤洋介/音楽:the pop group
出演:入戸野誠、山崎いずみ清末裕之、近松弓乃
東京の片隅で孤独な毎日を送る、冴えない浪人生。勉強には集中できず、疎外感と劣等感と性欲にまみれた日々のなか、その鬱屈が、突如、なんの前触れもなく爆発する。救いのかけらもない衝撃の結末で観る者を凍らせる問題作。自主映画界の革命児・石井監督、原点の1作。